悍ましいもの

大海原を高速船で走っている。

晴れ渡る空、青い海。小型だが最新式の水中翼船のようだ。

氷結した洋上に出た。それでも刃先のように鋭い船底は氷を割って先を進む。

気付くと町中に来ていた。

小さな田舎町の交差点だ。信号に従い止る。

屋形船のように換わっている。そこで姉と二人でいる。

夕食、何を食べようか、姉と二人で考えている。

姉は待ちきれず、先に屋形船のような部屋を出る。

私はまだ迷っている。何を食べたらいいのか。

その、屋形船の形の部屋の庭側の雪見障子の向うの縁側に七輪が置いてある。その上に網が置いてあり、そこには何か悍ましいものが置かれている。

ああ、焼き肉にしよう、と思いつくと、その悍ましいものは朝鮮漬けと虫のように見えてきて、このままそこに置きっ放しではまずいと思い、そっと、その団扇（＝網）にのせたまま移動させる。すると、あともう少しで外に出せると思った所で落としてしまう。

観葉植物の葉っぱのような形の、固形のような、あるいはどろっとしたゼリーのようなものが、ちょっと透き通っていて、さらによく見ると目玉のようなものが二つ付いている。キムチ漬けになっているようだが、それがカエルだと気付いた。もう十分発酵しているはずなのに、それはまだ生きている。私が団扇から落としてしまうと、もぞもぞと動き出すのだった。

2004/11/29(月)