駐車場の白熊

新幹線

途中停車駅は、車両に対して垂直にホームがついていた。

ホームを渡って次の車両に行こうとした途端ドアが閉まりはじめた。

間に合わないと思い、元の車両を振りむくが、そっちも同時に閉まりかけてている。ホームの真ん中で焦り、元の車両に戻ることをとっさに選んだ。閉まりかけたドアを無理に支えて中に飛び込む。何とか間に会う。

山形

駅前の駐車場

地面の土の上に杭を打って四方をロープで囲んだだけの駐車スペース。

山形では白熊を車代わりに使う。

私の熊は落ち着きの無い狂暴な犬、コルヘだ。コルヘはこんな駐車場でじっとしているはずがない。綱を工夫して杭に結び付けようとするが、綱がうまく固定できない。するっと手元から綱が離れる。コルヘが逃げてしまいそうになる。慌てて何とかコルヘの首輪を掴んでその場は治まるが、こんなコルヘをどうしたら固定できるのだろうか。

駐車場の熊(＝コルヘ）

首を切断。後で繋ぐ。

とりあえず、首を切り離す。そうすればおとなしくなるし、ロープも結び易い。切り落とした頭部の首輪の金具部分に指をかけ、一緒にいた人に持ってもらう。胴体を杭に結んで。

胴体と頭がころがっている。

こんな事をしてしまったが本当に後で繋げるのだろうか。こんな事やった事ないのではないか。一般常識では、哺乳類なのだから仮死状態は死を意味するのではないか。少し不安になってくる。取り返しのつかない事をしてしまったのではないか。

頭を切り離した理由も忘れてしまい、あまり長い事切り離した状態が続くのもまずいと思い、母に針と糸を用意してもらい、接合してもらう事にした。

ただ、付ける前に、気になっていた事を済ませようと、コルヘの鼻を口に入れて軽く噛んでみた。少しコルヘの鼻が欠ける。

切断面をそのままにしていたのはいけなかった。消毒でもしておかないと。切り口をそのままにして胴体と首を放置していたのはまずいかもしれない。

接合する前にせめて洗っておけば良かった。

まず試しに繋いでみるとすぐコルヘは動きだした。糸で縫わなくても、くっついているようだ。

1997 7/19

駐車場の白熊