部屋で一人、煙草を吸っていた。随分と綺麗に片付いた部屋だ。

私道に面した壁が大きな硝子戸になっている。曇り硝子の硝子戸だ。

がらっ、とその戸を開けて、見知らぬ人が部屋を覗く。通りの突き当たりにある敬老会館を見学に来た人だ。どういうつもりだろう、人の家まで勝手に中を見に来たのだ。どうも二人連れのようで、先生と生徒という間柄のようだ。

勝手に入らないでください、と私は押しのける。すると表にはもう数人の生徒達が屯していた。

家の中とも外ともつかない所、丁度田舎にある古い商店の土間のような場所で、そこに騒ぎを聞きつけた母まで出て来ている。

私はコルヘに頭を着けている。

コルヘも気持ち良さそうに目を閉じている。

あれ、コルヘ、死んじゃったんじゃなかったっけ。

そうコルヘに言っても、彼はごろんとするだけ。

母も死んだはずのコルヘがここにいて嬉しそうだ。

コルヘは目ヤニをたっぷり付けて寝ている。幸せそうに上を向いて寝ている。コルヘの毛布に取った目ヤニをこすりつける。

2003 11 27 14 55