午後眠ってしまい、夢を見た。一つ目はコルヘの夢だ。

目の前にコルヘがいる。腹ばいになって、顎をべたっと地面に付けて、正面、私と向かい合っている。その横、左側にはカナエサンがいる。彼女は静かにほほ笑んでいる。

毛の艶が悪い。目の周りも汚れている。ちょっと痩せたようだ。一回り小さく感じる。

あれから随分と経った。だからコルヘも歳をとったんだろう。でも久しぶりに会えて、とても嬉しい。

あれから....。あれ、コルヘ死んじゃったんじゃなかったっけ？どうしてここにいるの？

コルヘの横にいるカナエサンに確認をとった。

「コルヘ、確か死んじゃったよねぇ？だから、これは夢？今夢を見てるんでしょ？」

カナエサンは私の問いに答えない。ただ先程と変わり、少し悲しげな表情になっている。

死んだはずのコルヘがいるはずがない。夢なのだ、これは。

でもカナエサンは「そう、夢よ。」と言ってくれない。相変わらず押し黙っているだけだ。コルヘはそんなことに関心ないらしく、ただ寝そべっている。

二つ目は京都にいる。

カナエサンと京都にいた。しばらく滞在していたようだ。何かのイベントがあったのかもしれない。観光で来ていたわけではなさそうだ。

それで今、カナエサンが借りていたプラスチックの青いケース、よくパンなんかを運搬する業務用の、ヤマザキパンとか脇に書いてある厚みの無いケース、それを二つ、二段に重ねて、カナエサンが台車に乗せてごろごろ押して行く。コンビニエンスストアで彼女が借りていたのだ。それを返しに行くのだろう。私もそれに付き合っている。

高架道の陰になる、ところどころ日が射す大通りを結構歩いた。道は一本真っすぐに来ただけだが、距離はあったのかもしれない。目指すコンビニエンスストア、ampmのある交差点にたどり着く。カナエサンは二段に重ねたケースを難儀そうに抱え店に入る。私は外で待っていることにした。

この後京都駅へ行き東京へ帰るつもりなのだが、ここから京都駅まではまだ遠い。ここに来る途中、道路標識があったのを記憶している。右矢印に京都中心街の地名が記されていた。

用を済ませたカナエサンが店を出てくる。私はてっきりバスで行くものと思っていたが、カナエサンは迷わず交差点を左に行こうとする。ただ後を付いて行く。そう、ここに私鉄駅があることを忘れていた。

ごちゃごちゃした狭い歩道だった。その左に角に立ち食い蕎麦屋がある。角地であるその店を左に回り込んだ所に地下駅へ降りる階段口があるのだった。

カナエサンは私に気をかけず階段を降り始める。子供を連れているかのようだ。ひょっとするとニイカを連れているのかもしれない。私は、角の立ち食い蕎麦屋が気に掛かる。京都の、関西風のお出しでうどんが食べてみたい。そう迷っている間にもカナエサンはどんどん行ってしまう。彼女は地下の小洒落たカフェでパンでも食べる気でいるのだろう。私は京都のうどんが食いたい。

「ねぇ、まって！」下へ降りて行く彼女に向かって呼びかけるが気付いてくれない。声が届かないのだろうか。恥ずかしかったが、大きな声を出してみた。

「そこでうどん食ってくわ！」

ようやくカナエサンは振り返ったが、言ったことが聞こえたのかどうか、きょとんとしている。どうも面倒になり、後で追いつけるし携帯電話もあるのだから、カナエサンと別れ、一人勝手に店に寄って行くことにした。

2006/10/08(日) 18:27:17