小魚をもらった。活きのいいタナゴみたいな小魚だ。
家まで持って帰ったら仮死状態で固まってしまった。急いで大きめのタッパーウェアーに真水を汲み、そこへ入れると、しばらくして動き始めた。
海水でなくていいのかどうか解らない。
折角もらったその小魚をどうするか。カップラーメンの具にして食べるのが一番いいだろうと思った。
台所のステンレスの流しの中に小魚を入れたタッパーを置く。そしてその容器の、真水を泳ぐ小魚の上に、中身だけ出した味噌味のカップラーメンを浮かせ、その上から熱湯を注ぐ。
流しの前でしばらくぼうとしていると、注いだ湯の分、器からあふれているのに気付く。中途半端にふやけたラーメンの具、鳴門や支那竹がこぼれている。
しばらく待ってから食べる。水を入れたタッパーにお湯を注いだのだから、当然ぬるい。ふやけた麺を口に含むと、かすかに生臭い味がする。麺の下に隠れた小魚の所為だ。
最後の方でほぐされ、小片になってしまった小魚を食べる。結果的に煮干しを食べているようなものだった。私は母にそんな感想を述べるのだった。
2000 5/26 山形