母と姉の三人で宇都宮の民宿に泊まった。

そこは手作り料理で有名なのである。

夕食の最後は焼き肉である。炭焼きの網の上に肉を乗せて焼く。宿の奥さんが皿に盛ってきたものだ。

餃子や下味の付いた肉の脇に生クリームが添えられている。ショートケーキを崩したような、スポンジも混じった生クリームだ。奥さんの説明によると、焼く前にそのスポンジ混じりの生クリームをよくまぶすといいらしい。

まず餃子焼きから試してみた。

既に餃子にはどぎつい緑色したタレがからんでいる。そこに生クリームをからめて網の上に乗せてみた。熱で生クリームがどんどん溶けていく。本当にこれで美味しくなるのだろうか。奥さんの目を盗んで、その生クリーム、崩したショートケーキのかけらだけ食べてみた。イチゴこそ無いものの、普通のショートケーキの味がした。餃子が焼き上がったのでこちらも食べてみる。だが味は何の変哲もない焼き餃子の味である。生クリームが生かされているとも思えない。

三人でそんな旅をした後、幾日か経って姉が家に遊びに来た。姉はお土産にケーキを買ってきてくれた。

父と母、そして私と姉の四人でケーキを食べている。

その時私が、こないだの生クリーム焼き肉は酷かったな、と言い出す。

母が笑い転げている。

何で焼き肉に生クリームなんだろうね、と姉と話をしている。

2009 7/13