一橋大学の庭

ここは国立、一橋大学の庭だ。

釣竿を持った一群と出会う。足元を見ると、とても浅いが、小川のように水が流れている。そこには小さな魚と、見慣れないオタマジャクシが泳いでいる。オタマジャクシは小魚より大きい。ヒキガエルのものではない。多分、イモリのオタマジャクシだろう。

一旦車道を渡り、西側の庭へ来た。喉が乾いていたので、ジュースを買おうとしている。

昨日の飲みかけが自販機の上に置いてある。昨日は人が大勢集まったのだ。

いろんなサイズがあった。大瓶ばかりで標準サイズが見当たらない。昨日の、誰かの飲み残しに手を出そうとしたほどだ。しかしようやく、標準サイズを手に入れた。

くどいほどのオレンジ色。飲むと、大粒の果肉どころか、伊予柑の実の一部が混じるくらいだった。濃くて美味い。

もっと飲みたくなって、今度は大瓶を買いにゆく。

さっきの自販機を探す。

雨でできてしまった泥濘の前に、大きな販売機がある。見本はあるのだが、値段が書かれていない。コイン投入口の辺りに、目立たないよう値段が書いてあるのにようやく気付く。

123○○。この○○とは単位だが、値段と量が一致している。丁度５円玉を含め125円持っていたので、そのコインを入れる切り口にお金を落としていった。お釣りの出かたも商品の出かたも変わっていた。とても大袈裟な自販機で、特殊牽引トラックを真似ている。ぐっと右に切れて、牽引部分が横を向くと、その折れた隙間からぽろっと商品が落ちる仕掛けになっている。

出てきたのはビンではない。123○○も入った容器は、車のバッテリーに蛇口のついた形で、全体が鼠色をしていた。その蛇口を捻ればジュースが出て来るのだろう。

キャンピング・トレーラーの内部。明るい日が差す臨時の部屋にカナエサンがいた。ジュースだけじゃなく、唐揚げも持ってきた。

その鳥の唐揚げはちょっと油っこそうで、迷ったのだが、食べたくて結局は買ってしまった。脂の乗った四角い股肉に油紙をかぶせ、透き通ったプラスティック容器に入っている。

その唐揚げもジューシーで美味い。

気になるのはＴシャツの端切れに包んであることだ。どうも、肉と一緒にその端切れも食べてしまっているようだ。

とても美味いのだけれど、それが人肉であるのを分かり始めた。頭が付いているのだ。欧米人の顔だ。アメリカ人かフランス人か。今食べているのはフランス人らしい、黒い短い頭髪の、毛深く、目のはっきりした男だ。Ｔシャツに包んであるのではなく、生前このＴシャツを着ていて、そのまま処理されたのだと思う。

唐揚げは美味しいのだが、少しだけ気味が悪い。というのも、残した頭部をゴミに捨てると、それは死体遺棄にあたるのではないかと。人間の頭ばかり、ごろごろと生ゴミに混じるのは、気味が悪いし犯罪と誤解されるのではないだろうか。

2006/03/16(木)