試験会場には遅れて着いた。いつもの教室だ。

まず自分の試験番号を伝え、用紙を受け取る。しかし、その六桁の数字がごちゃごちゃになる。

ともかく自分の席に着こうとするが、空いているいくつかの席のうち、何処に座ればいいか解らない。もう開始されて時間が経っているようで、ふと他人の答案を見ると、もう二問目に差し掛かっている。私は焦っている。

管理係の女生徒が私に何か言っている。滑舌が悪くて聞き取れない。私の番号が間違えているのかもしれない。しかし、焦っている私はともかく問題に取りかからないとまずい、と思い、その女生徒に怒る。お前はそれでも日本人か！はっきり話せ！と教室中に響き渡る声で言う。向かいの試験を受けている他の女生徒がひそひそ、私の無神経な言い方を責めている。それで余計問題が解けない。

まずオクタンドルだ。二つの三角形の一つを除いた各角度が表記された数式。そこから記述されていない一つの角度を導き出すものだ。360から引いていけばいいはずだが、自信が無いし、さっきの女生徒への暴言で、集中出来ない。とりあえず、次の問題に差し掛かるが、二問目は動物に係わる問題だった。これは得意なはずだが、問題の趣旨が読み込めず、これも飛ばす事にする。

ページを捲って、次に出された問題は、茶菓子だ。２ページ目は重箱に詰められた茶菓子がある。これをどうするのかわからず、その下の重を見る事にする。

次の重は釜飯だ。とりあえず釜飯を食らう。最後の米粒をかき集め、奇麗に食べ、残していた鳥肉を食べようと思うと、それが見あたらない。どうもかきこんでいる時に落としてしまったようだ。ふと自分の座っている絨毯の上を見ると、鳥肉が、皮を下にして落ちている。

その脂の載った旨そうな鳥の股肉を拾う。食べて見ると埃の味がする。旨い皮の方に、たてかけてある運動マットから出た埃がべっとりと付いていて、そいつが粉山椒のように味をつけているのだ。

旨い皮の部分を諦め、そこだけ剥がし捨てる。

2000年 10/3