ゆみさんと暮らし始めた。

高台に建つマンション、彼女のマンションにしばらく厄介になるようだ。

私には連れ子がいるようでならない。それは小さな男の子のようでならない。

ゆみさんにも子供がいる。それは、私の連れ子と同じ歳くらいの女の子だ。

ゆみさんはぴちっと身体に張り付く白のブラウスを着ている。胸元のボタン、三つほど、外している。だからその豊満な胸の谷間がよく見える。それとベージュのタイトスカート、切れ込みの入った、しかもとても短いスカートを履いている。ちょっとしゃがんだ時、そのむっちりとした臀部、露わになる太股とか。家にいるのにそんな格好で、と思ってしまう。でも案外私は冷静でいる。ウェーブのかかる染めた髪も、綺麗に化粧されたその美しい顔立ちも、一緒に暮らすことになった今更どうというほどもないのである。

連れ子を散歩させる時間だった。夕方、私は自分の連れ子と彼女の子と一緒にマンションの部屋を出る。ゆみさんは留守番だ。なにか家事があるようだ。普段仕事で忙しい彼女は、こんなタイミングを見計らい部屋の片付け、掃除をするようだ。

ゆみさんの仕事、それはAV女優である。もうかなり長くその仕事を続けている。

「風まゆみ」という芸名で出ている。

そんな彼女と暮らすようになったのだから、もっと興奮してよいはずなのに、案外そうでもない。確かに家の中でもゆみさんは扇情的雰囲気を醸し出している。それでも、その彼女の仕事の割に、性欲の対象としてでなく、良き理解者としての在り方ばかりが骨身に染みる。

マンションの広々としたエントランスを連れ子を引き連れぬけていく。薄茶色した落ち着いたカーペット。品の良い間接光。大きな一枚板のガラス窓からは隣接する林の緑が効果的に取り入れられて。ここは高級マンションだ。

自動ドアが開いて外に出る。元気な連れ子と手を繋いで坂道を下る。下り坂なのにぐいぐい引っ張られ、私は反り返り気味になってばんばんと地面に足を着く。腰や膝に負担がかかる。

ゆみさんといつまで一緒に暮らすのだろう。ずっとではない、とどこかで感じている。

でも今日は、少なくても今日は、散歩から帰るとゆみさんが待っている。

2011/06/15

内容からして、どうも残す気にならなかったのだ。欲望絡みの、ちょっと恥ずかしい夢。それでも大切な「見てしまった夢」であり「僅かに掬われた夢、目が覚めても覚えていた夢」の一つだ。

こんなくだらなくてもたぶん、私を救ってくれると思う。2011 6/17