カナエサンと信州に来た。

夜中、広い原っぱに一軒だけ建つカラオケセンターに入る。そこではぐれた美緒を探している。

そのカラオケセンターは大きな木造平屋である。随分傷んだ安物の建物で、畳敷きだったりする。右手に男性用広間がいくつかある。仕切りは襖だけなのだろうが、それも取り外され、がらんとした畳の部屋が続いている。壁も簡単なベニヤ板だ。人はいない。だれもいない。

左手は女性用だ。ここは個室に別れている。小さなトイレが一つづつ付いている。男女に別れていても、きっと本当は男女入り交じるのだろう。田舎の若い男と女はここでやったりするのだろうか。

一番奥の畳み部屋を見回してから女部屋の前を通り、戻ってくる。美緒は見つからない。

建物の外では人が集まっている。私と誰か他の仲間の気配もする。集会のようだが、ここに集まる意味が何かあるのか解らない。

結局カナエサンと先を行く事にした。まだ途中なのだ。早めに出発しないと宿の夕食に間に合わない。北へ向かうはずなんだけれど、どうも夢の中では南の気がする。イブ・タンギーの絵ような地平線が見える。線路が目の前にあり、踏み切りを渡り切った所にカナエサンが立ち、振り向いている。

私は自転車で来ていたのを思い出す。歩きのカナエサンと自転車の私では一緒に行けない。カナエサンに合わせて自転車をおして行くしかない。

ここから目的の宿まで自転車なら解るが、歩くとどれくらいかかるのだろう。夕暮れまでには着くのだろうか。とりあえず国道20号線をカナエサンと歩いて行くしかないだろう。

2004 01 21